施工事例

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2026.03.26

ホンダ ゴールドウィングのサイドカー

タイヤ交換の準備

昨晩、お客さまがご来店。
セカンドエアーパイプを組み付けると不調になる等のお話をしながら、追加でタイヤ交換のご依頼。


特に指定が無かったのでダンロップで行こうと思いながらタイヤサイズを確認。
フロントが4.00-18でリヤが160/80-16。

フロントの4.00ってチューブ用なのでは?
それに形状がリヤタイヤっぽいし・・・
なんて思いながら担当くんに年式と車種を伝えるとエリート4という銘柄のタイヤが適正である事を伝えられ、サイズもリヤは適正でしたがフロントは130/70-18である事が判明。

そのまま発注しようとカタログを見ると何とも最近の溝の少ないパターンである事が判明。
直立不動で走るためサイドよりも中央にミゾが欲しいと感じたので一度保留にし、色々と調べて見る事に。

直進安定性を高めるためにフロントにリヤタイヤを履かせるのはサイドカーの上等手段らしく、サイドカー専用タイヤなるものも存在していました。

でも私が一番魅せられたのは警察のサイドカー軍団!
多分1800であろう新しい顔をしたゴールドウイングだったので、履いているフロントタイヤの今どきパターンも似合うのです。
そして練習風景で見せたサイドカー側を持ち上げながら旋回するシーンによって全て解決。
こういう挙動が出る時もあるのならバイク用のタイヤの方が逆に安全。フロントもフロント用の方がハンドリングも軽いし、何より見た目のバランスが良い!

そう思いながらカタログに目を通していると、ハーレー用のタイヤがパターン的にも良さげである事が判明!ただサイズが無い・・・
ピレリーやメッツラー等、何となく有りそうな他メーカーのカタログを見ても、どこも今どきのパターンばかり・・・
とそこにダンロップのD404カブキなるハーレーもどきの様なパターンのタイヤを発見!
フロントサイズはちょうど新発売されたらしく、一気にこっちに引き寄せられたわけですが、リヤは・・・サイズが無い⁉
それでも160から150へ細くすればあるので、寸法を調べるべく荷重等の情報が豊かな海外のダンロップホームページへ。
何と良さげだったD404のリヤタイヤの耐荷重の数値が、エリート4のそれに遠く及ばないではありませんか。これによってリヤはエリート4に決定。

そしてフロントの耐荷重はエリート4もD404も大差ない数値。
確かにリヤのサイズ表記、160/80B-16 のBは高荷重用の記号らしいので、Bが存在しないフロントは大差ないのも納得です。もちろん性能面だけを考えれば前後一体で開発されているエリート4に軍配が上がるのは間違いなのですが、ほとんどお目見えしないリヤに比べフロントは象徴であるあの顔と一緒に見られがち。
実際、最近のダンロップは旧車達に合う様、当時の銘柄を今の技術で復刻させている位、タイヤとバイクの表情のマッチングは購買欲を刺激する重要なファクターの1つだと認識しているはずです。

と言う事で、フロントはD404カブキに決定。
どちらも今週中に間に合うとの事で、タイヤ交換の準備を始めます。



先ずはキャリパーを外しスライド部の動きとパッド残量を確認。
動きが渋いので片減りしているのも納得です。


ピストンの動きは付着した汚れを取ってから。


ママレモンを解いたお湯でジャバジャバしながら歯ブラシでゴシゴシ。


なからキレイになったトコロでただのお湯でジャバジャバと洗い流しエアブロー。


アルトよりもピストンが小さいので固着していなければ手の力「指の力」だけで押し込める事が出来ます。これが出来ない様ならO/Hするつもりでしたが、押し込む事が出来たので今回は良さそうです。
押し込めてはレバーをポンピングしピストンを押し出す。
この作業をブレーキO/H用の潤滑スプレー等を塗布しながら5回程度繰り返します。
最初はスムーズな方のピストンだけが飛び出してきたりと、2つのピストンが均等に出てこない事の方が多いですが、飛び出す方を押さえてポンピングしたりと、あの手この手と臨機応変に対応している内に、不具合が無ければ間違いなく最初の頃よりは均等に飛び出す様になって来ます。

何より指で押し込む力が段々と弱くなっていくはずです。
「スムーズに動くようなら分解の必要は無い」が私の自論です。
もちろんスムーズに動く様に努力した結果のお話なので、努力しても改善されなければ、当然ピストンシールの交換も視野に入って来ますが、このキャリパに関してはピストンよりもスライド部のグリスアップをしながら、スムーズにスライドする様、馴染ませる事でイイ感じに仕上がりました。
後は実際にブレーキングを繰り返す事でどうなるかを確認するだけです。


続いて左側。
若干の片減り感はありますが、スライド部の動きからも特に問題は無さそうです。






ピストンの押し込みも押し出しも特に問題無し。
フロントキャリパーは左右共スライド部のグリスアップだけで良さそうです。


キャリパがオッケーとなったトコロでタイヤを外そうと触ってみると若干の左右ガタがある事が発覚。

タイヤが空転するまで車体を持ち上げて回る感じを確認。
一度降ろしてナットを緩めクランプボルトも緩め再びジャッキアップ。
シャフトがクルクル回る状態にしてから、今一度ナットを締め付けてクランプボルトを締め付け、三度降ろしてガタが無い事を確認。

バイクってこういうところが繊細というか、クルマみたいに力いっぱい締めればイイという構造ではない事を理解しないと、ベアリングを潰したりセンターがズレたりする事もあるので注意が必要です。

キャリパを外して空転させた感じとガタの有無でホイールベアリングの状態は何となく分かりますが、最終的には肉眼で状態の確認。手で触れてゴリゴリ感の有無を調べておく必要があります。

これをタイヤ交換時に実施すると数日、宙に浮いたまま過ごす事に繋がる時もあるので、こうやって先に確認しておくのは意外とアリな作業です。

部品発注から納期までの日数がクルマに比べてどうしても長めなので、早めの部品発注がバイクには必要な気がします。
ただ、今の世界情勢があまりに不安定過ぎて、モチュールさんのオイルが欠品し始めているのは、かなりヤバイ状況です。

フロントタイヤを確認している間に代替品のラジエータキャップが到着。







これで水回りも完了です。




タイヤを外しベアリングの点検です。




交換した事があるのか、かなりキレイな状態でした。付着していたグリスの状態も良くゴロゴロ感も無いので無交換で行きます。



















続いてリヤ回りの点検です。

リヤタイヤを触るにはサイドボックスを外す必要があります。
今回はリヤのマスタシリンダー交換時にサイレンサーを外したままでいるので、作業出来そうな解放感ですが、通常はサイドボックスとサイレンサーの脱着が伴う作業の様です。
キャリパの下に見える鉄のプレートは駐車ブレーキ用のブラケットだったみたいです。


キャリパを外そうとスライド部のボルトを緩めるとスプリングワッシャが2枚掛け?
何かトラブルの予感です(笑)


外して見るとスライド部が固着している模様。
その影響でパッドの片減りが凄まじい事に。
どうやらスプリングワッシャ2枚掛けの理由もこの辺りにありそうです。

リヤのパッドが良さそうなら、フロント片側分だけ発注しようと考えていたのですが、これで3セット発注確定です。


潤滑剤を塗布し指の力で押しても全く動かない・・・
                                     

どうやらブーツが変形し水分が浸入。かなり錆びている様子。


スライドピンの外径ギリギリの道具を用いて叩きだす事に。










何とかキャリパを壊さずに外す事が出来ましたが、ピンとブーツは要交換です。部品があれば良いのですが・・・


気を取り直してピストンを確認しましたが、こちらは問題無し。
とりあえず良かったです。


続いてブラケットを外していきます。


穴を開けてタップを立てたリヤブレーキ用のブラケットが凸凹しているので、4本のボルトには均一な力は加わっていません。一番高いところが支点となって順々にブラケットを歪ませながら締め付けてあると想像出来るので、先ずは均等に緩めた後、スムーズに回るボルトから外していきます。


年式によって駐車ブレーキの有無が違うらしく、このゴールドウイングは未装着では車検に合格しないみたい。一応、相談は受けていたので保安基準を調べて見ると確かに不適合となってしまうので、駐車ブレーキは必須な様です。


とんでもなくピンポイントな箇所にネジ山を作っていました。
右側のブラケット裏にワッシャが入っていたので、やはり高さは均一ではないみたいです。





タイヤは外れましたが、結構な高さまで上げないとスムーズに外れませんでした。
最終的にシャフト側のカバーを外す事で低い位置でも容易に外れる事を発見。
何とかなりそうです。
                                     



リヤホイールのベアリングも大丈夫でした。これでスムーズにタイヤ交換が出来そうです。


そして不明という意味で言えばもっとも最難関なのがサイドカー側のブレーキです。

目視で左右共パッド残量は十分あるのと、エアー抜きを何度も実施した事で、ブレーキも効く様になったので、出来れば触りたくないのが本音です。


ブレーキホースが奥側のブロックでブリーダが手前にあるという事は、ブロックを貫通して車体に固定しているボルトを緩めれば、両ブロックが割れるという事に。






合わせ面にあるであろうOリングが再使用に適応出来なければフルード漏れが勃発。


車検どころの騒ぎではなくなってしまうので、今回は触らない様にします。


エア抜きだけで動く様になってくれて本当にラッキーです。

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