施工事例

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2025.07.30

ヤマハ RZ250RR

フューエルコックとキャブレター

購入可能なOリングやガスケット等を駆使してフューエルコックをリフレッシュしてみましたが結果は・・・?


















「2サイクルは楽しいよ!」
当時の私がお客さまに話した一言が決め手に。
そんな昔話を作業前に聞いていれば、もっと早く納車出来たかも(笑)



手が象さんになってしまう位、キャブレターは触って来ました。
不動の大半がキャブレターの詰まりなので仕方ありません。


もちろんインジェクターも長年放置していれば詰まりますが、ワイヤーブラシのワイヤーでシコシコする事は出来ません。


って、本当はキャブレターも寸法が変わってしまうので厳密にはダメなのですが、手を汚す事で復活するバイクたちと過ごして来た経験が今に活かされているのは間違いありません。


そして何と言ってもスーパーキャブレターたちとの出会いです。
ケイヒンのFCRが主流で、ミクニのTMRが誕生して間もない世代。


ひと昔前のカタナが大好きだった私は、空冷エンジンはFCRの前身である丸筒型のCRキャブレターの方が似合うなぁと、専門誌に認められた数々のカタナを見ながら、自身の750Sに装着された姿をイメージしニヤニヤする若者でした。


キャブレターから離れてしまいますが、今まで一度もお目にかかれたことのないヨシムラのバナナ管はまだしも、GT商会で見つけたUSヨシムラのシリーズ7は、あの時に買うべきだったと未だに後悔する位、私の中ではお宝です。


結局、カタナにスーパーキャブレターを奢る事は無かったのですが、その一番の理由は初代のR750、そしてこちらも初代R1100を味わってしまったから。
88の250V-Γから始まった一般公道走行だったので、750Sに初めて乗った時も750ならこんなモノ程度にしか速さを体感しなかったのですが、これって裏を返せば2サイクルの250が途轍もない加速力を叩き出していたというコトに。


その後、R1100WからハヤブサそしてK4のR1000、「最後になったL3のR1000は全力で走行していないので分かりません」と最速と呼ばれるマシーンに乗っても尚、V-Γのエンジンフィーリングは楽しいと感じるモノでした。
そして、同じような楽しさがアルトワークスにある事をお伝えしておきます。


少し話が逸れましたが、ミクニの強制開閉キャブが純正で装着されていたR750。
空冷から油冷「普通は水冷です」へと進化したエンジンと言うよりは、強制開閉式が生み出すアクセル操作に対するレスポンスの良さ、そして大きな排気量のパワーを遺憾なく発揮させている事が分かるほど、今まで生きて来て味わった事のない壮絶な加速力!
ワックスの効いたシートでは身体を預けていられない程でした。

これは負圧キャブが装着されていたR1100を同時期に味わう機会があったから確定した事実。大排気量+正圧キャブ「強制開閉」は万人向けではないというコト。
時折、FCRとTMRが純正採用されたマシーンの大半が競技ベースであった事からも、その事実を物語っています。


そしてもう一つ、付け加えるコトとしてスロットルバルブの張り付きがあります。
大きな排気量であるほど、混合気を吸い込む力も増大されるコトになり、アクセルを戻してもスロットルバルブが戻らない症状がでていたみたいです。
それって相当危険な状態ですよね。その症状が出ない様にFCRはバルブにローラーを取り付けていますし、TMRもバルブが摺動する壁にシールを装着。
そのお陰でFCRとTMRが奢られたマシーンたちを何台もセッティングして来ましたが、一度も貼り付きの症状を味わった事はありません。
強いて言えば、整備不良で味わった事がある位です。


貼り付き対策の恩恵と言えば良いのか、FCRが奏でる独特のガチャガチャ音。
摩耗するので定期的に交換しなければならない事もあり私は敬遠しましたが、たまに入庫して来るFCR付マシーンが、あの音を奏でているのを聞いていると、やっぱテンションが上がりますよね!


これは乾式クラッチに通じるレーシーな音と言うイメージがあるからです。
TMRも一応浮動バルブなので、カチャカチャ音も若干聞こえはしますが、FCRの比ではありません。


7/31

そしてヨシムラからTMRのMJN仕様が誕生します。
先ずは油冷からでしたが、一向に私の乗る水冷用が発売されない・・・
と言う事で、そっちの業界と繋がりのある近所のバイク屋さん「M-HOUSEの森田さん」に相談し、油冷ベースにピッチを合わせてもらったSPを作ってもらったのです。「後に水冷用も発売しましたが、間違いなく私のがベースなはずです」


その後もFCRではなくTMRが良いと言うお客さまが何人かいましたが、MJNではなく、普通のTMRを選択しました。
キャブレターのセッティングは、こんなモノだと思った時点で終了します。もっと良くなるのではという追求心があるほど、様々なジェット変更を試みてしまうのですが、当時のMJNは変更の余地が残されていなかったため、もっと良くなるはずの体験を味わう事無く終わってしまった記憶が残っています。


追求し過ぎてキャブレター自体に問題があると、送り返した友人もいました。
サーキットを走らないなら必要ないに近い事をヨシムラさんに言われもしましたが、3-4-5とシフトアップしながらアクセル全開、3キロ強ある一直線の道路でアホみたいにセッティングしていたあの頃を久しぶりに思い出し思わず苦笑い(笑)

ポンコツ化した今となっては最高出力を増大させた乗り物を操る事が難しいので、乗り易い方向へシフトチェンジしましたが、いまだに変わらない友人が一人だけいます(笑)

バイクにしろクルマにしろ情熱を持ってイジり続け走り続ける。
いつまでも乗り物に楽しさを見出し続けられるのはゴールに辿り着けていないから。
目標に向かって今後も精進します。

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