施工事例

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2024.06.29

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1-5.エンジン降ろし

オーバーヒートしてしまったエンジン。
走行距離が24万㌔を超えている事もあり中古エンジンに交換していきます。




14万㌔走行の中古エンジン。
車両が中期型なので本来エンジンは前期型なのですが、中古エンジンが後期型しか見つからない。そこで互換性を調べた結果、前期型よりの後期型エンジンと新規格よりの後期型エンジンの2種類ある事が判明したため、中古エンジンの車体番号から前期よりの後期型であると判断し発注したのですが、到着したエンジンは新規格よりの後期型エンジン・・・

まぁ何とかなるでしょう!







先ずはタワーバーを外そうとネジを外すも、引っ掛かって外れて来ないため土台も緩める事に。ショックのアッパーマウントと共締めされたナットを緩めようと回しても全く動かない・・・
これは先が思いやられると感じながらエアツール「振動を与えながら回す工具」で緩めて見ると・・・




残念な姿になっていました。




アクスルシャフト「ドライブシャフト」のナット。
見るからにシャフトとハブのスプラインが固着していそうですが、左右ともバッチリ固着していました。





ISCのホース。
純正はU字に形が出来ているので、新しいホースに交換されている事が分かりますが、純正よりも長めにカットしないと、写真の様に折れ曲がってしまいます。
ネジの締め過ぎもそうですが、本当にチョットした事の積み重ねです。









車検時に点検する箇所なのですが、インタークーラを外さないとお目見えしないため、安く受けているところでは確認出来ない箇所なのかも知れません。
最終的にはオーバーヒートによる弊害の1つだと考えられますが、元々はネジの締め過ぎによるキャップの割れを放置した事が原因です。








本来、ローターは端子上をグルグル回っているのですが、とんでもない位置にローター痕が残されていました。







2番だけプラグを外す道具が入りませんでした。
オーバーヒートによるプラグホールガスケットの変形だと考えられます。






定価で1本2.000円以上と、かなり高額な部品となったスパークプラグ。参考までにメーカー出荷状態で時速300㌔を超えるハヤブサのプラグは白金でもイリジウムでもない、昔ながらのプラグなので1本1.000円を切ります。ちなみにシングルカムターボのF6A用プラグは定価でも500円ちょっとです。






中古エンジンからキャップとコード、点検用の普通プラグを使用してエンジン始動を試みるも爆発の気配は一切ありませんでした。
入庫時にセルモータが回らなかったことから、ヘッドガスケットが完全に抜けクーラントが燃焼室内に浸入するほどの状態。
掛からないのも納得ですがプラグに火が飛んでいるか等、確認出来る事はやっておきます。





降ろす過程でまた発見。
アクセルワイヤーをボデーに固定する方法が、ネジではなくプラスティックの爪が引っ掛かるタイプなので、経年劣化によっては脱着の際にツメが折れてしまうのも仕方がありませんが、何の補修もしないのは可哀そうです。
ちなみに販売終了しているので純正は購入不可です。






社外品が装着されているわけでもないのにタイラップで純正ハーネスをクランプするのはトラブルの可能性が高まるのでオススメ出来ません。
純正のクランピングはさすがというべき仕上がり、特にH系はエアコンが標準装備された事で車両ハーネスに無駄が無くなったイメージの取り回しなので、ここも本当にチョットした事ですが、どこかで書いた様にその積み重ねです。








明らかに詰まっているだろうラジエータを外したところで発見。
エンジンメンバが固定される部分に腐食です。
「もう一か所、ミッションマウントのリヤ側付近も腐食していました。」

リヤの左サイドメンバーの腐食修理は見積もりに入れましたが、何とか負担が増えない方向で考えてみます。







前期型と後期型エンジンの大きな違いの1つがスロットルボデーにISCが装着された事です。
通常のISCとエアコン用のISCと、2つのISCだけでなく制御の基本となるバキュームホースや配管等々が全て撤去された後期型を一言で表すなら、まさに洗練されたエンジンです。更にプレッシャーセンサまで組みこんでしまった事によって、インテークマニホールドから出ている配管は本当に僅かです。

この集中型スロットルボデーではない前期型同様のスロットルボデーが装着されながら、大きな変更点の1つであるクランクシャフトが後期用という、前期型に近い後期型エンジンをたまたま在庫していた事もあり、パーツカタログに掲載されている車体番号と年式を調べた結果、大丈夫だと判断したのですが、このあたりは中々難しいです。





エンジンからコンプレッサを外すためネジを緩めている写真ですが、エンジンメンバが折れ曲がるほどの怪力で緩め、再び締めたであろうこのボルトは、最後の最後まで指で回すことが出来ないほどネジ山が傷んでいました。







ボンネットを室内から開けるためのワイヤー。
タイラップどころか、全くクランプされる事もなくダラーっと垂れ下がったままの状態でいました。







ミッションオイルの注入口。
見るからにナメ始めている形状と、奥まで締めこまれたプラグ位置。
案の定、通常の力では緩まない・・・
念のためリヤデフのオイル量を確認するためリヤホーシング側も緩めてみましたが。やはり締め過ぎで回らない。
最終的に緩める事が出来ましたが、最後の最後に最強が現れます。







腐食部分のボルト&ナットもヤバかったですが、今回の一番はフロントパイプのフランジ部。
元々高温で焼きが入るところに持って来てあの怪力。
中古エンジンに載せ替えるので、最悪折ってしまっても新調すれば問題無いのですが、意外と高額なので出来れば折りたくない。

とにかく振動を与え続けながら、他の作業を同時進行。
K6Aはフランジボルトが締まっている部分が2本とも丸見えなので、振動と浸透を意識してエアツールのエネルギーを徐々に高めていき、他の作業が完了したところで、デカツールによるパワーで2本とも無事に緩み最強をクリアー!







1本も折る事無くエンジンが降りました。

続く

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