施工事例

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2025.04.08

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9-1 クーラント漏れ修理のはずが・・・

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遠方からアポ無しで走行して来たキレイなワークス。
クーラントが漏れている部品自体が販売終了し修理出来ないと修理屋さんから言われてしまったとの事。
漏れ止め剤を注入してもらい納車された状態で数百キロ走行し当店へ。

とりあえず当店の場所を把握しておきたかったと言うコトで、そのままお預かりする方向では全く無かったみたいなのですが、漏れ止め剤の注入という言葉でピンと来た方も居るとは思いますが、ボンネットを開けてみるとリザーブタンクに吹き返しのクーラントで満水目前の状態。

ラジエータキャップを開けてみるとプシューという圧力が抜ける音と共に蒸気が吹き出し、覗いた先には緑色の液体が目視出来ない位、入っていない「吹き返し」状態。

クーラント漏れ修理だけだった不具合が増えてしまっているかもという状態のまま、乗って帰るにはあまりにリスキーなので、そのままお預かりする事に。
ただ完成間近な修理車の追い込みが3台同時に始まっていたので作業開始が4/7になってしまいました。「ごめんなさい」



4/13



スロットルボデーやディストリビュータなどが新品に交換されていたエンジンルーム。



ラジエータも新品。


オルタネータも交換されています。


しかしホースは未交換の様子。




ラジエータを交換した際に交換したであろうクーラント。
キレイな緑色です。


オイル漏れ「滲み」によって油っ気のあるオイルパン表面。
マフラーに落ちて煙や臭いが出たり地面がシミになる様なら修理対象ですが、そうでなければ許容範囲内の不具合です。


クーラント漏れがエンジン裏側だと聞いていたので、多分ココだと想像していましたが、確かに漏れ出た形跡が残っています。
よく見ると太いホースのクランプがネジ式に変更されています。


オイルパンを固定するボルト。
赤い液体パッキンがはみ出しているボルトとそうでないボルトが見えます。
漏れと言うよりは滲み程度に感じるので許容範囲内です。



ラジエータのロアホースクランプもネジ式に変更されていました。


見た目は薄そうな色をしています。
あまり薄いとサビが発生しやすくなるので凍結しない地域でも注意が必要です。



キャップに固形物が付着しています。
私の知る漏れ染め剤はもっと白いので違う様にも見えますが、新品のラジエータにも関わらず固形物が見られると言う事はシリンダブロック水路に沈殿物が停滞している可能性が高いです。
元々錆びの発生が沈殿物を生む原因ですが、酷くなるとサビの塊がラジエータを詰まらせオーバーヒートに及ぶ事もあるので、鉄ブロックのF型には真水は厳禁です。



ボケていて分かりづらいですが白い塊によって本来空いているはずの水路が埋まっています。
こうなってしまったラジエータは新品でも残念ながら再使用出来ません。



サーモケース。
ラジエータのアッパホースがハマる箇所です。


吹き返しの原因の一つにサーモスタットが開かない事も考えられるので、水路洗浄後はサーモ無しで様子を見ます。



サーモケースキャップを固定するボルトの錆びが酷いです。




サーモスタットもサビ水が通過していた形跡があります。






エンジン内部の水路を洗浄した後のクーラント。
キレイだったはずのクーラントもサビ水が混ざった赤緑色に変色しています。


ヒーターコアも立派なラジエータなのでホースを外しガンガン洗浄していきます。






ウォータホースがハマるパイプ。
今回はF6Aですが、K6Aの様なアルミブロックのエンジンでもパイプは鉄なのである一定以上のクーラント濃度が無いと写真の様に錆びが発生します。






本来、表面処理されているはずのパイプがここまで錆びているのは真水に近い状態のクーラントが入っている期間が長期に亘ったからです。
耐用年数を考えれば十二分に役目は果たしていますが、エンジンオイル同様にある一定期間毎にクーラントも交換すべき液体である事が分かります。





サビを削り落としたパイプ。
凸凹化し痩せているのが分かります。
樹脂で補修した方が無難な見た目です。



細いウォータホースクランプもネジ式に変更されています。



クランプ変更されていないホースもあります。




ほとんどのウォータパイプがサビてしまっています。
この辺りのサビ具合から修理不可能と判断された可能性が出て来ました。







洗浄しても不安の残るオーバーヒート気味のラジエータを止め、問題無く使用されていた在庫品のラジエータを用意し試乗の準備が整いました。









リザーブタンクも洗浄しようとした瞬間、サビ水の沈殿物を発見。
これでラジエータ交換前は結構なサビ水であったことが確定。









これはメクラ蓋も要確認した方が良さそうです。


4/8
試乗の結果。







ラジエータを在庫品に変更しても吹き返しが発生。
漏れ止め剤注入によるラジエータの目詰まりによって冷却性能が低下した事でヘッドガスケット抜け圧縮圧力が水路を経由しリザーブタンクへ吹き返す様になってしまいました。

見積もりを作る前に今一度メクラ蓋を含めた鉄製品のサビ具合を確認する必要がありそうです。



こう見ると全体的に緑色に見えます。
インレットケース横に見えるメクラ蓋がずいぶん錆びている様にも見えます。

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