施工事例

施工事例

2025.03.13

2025 雪山

走行ルート延長


こちらは戻る道。


こちらが進む道。


ストローク量が増えたエナペタルショックによって例年以上の走破性を手に入れたヤシマでも、ここは難関です。


3/8
スタビライザーを550のNA用に変更した事でもう一伸びを実現。
吹きさらしの第一弾目を数か月ぶりに通過!
カメになる寸前の状態でモコモコと道を作り続け吹きさらし第二弾目の直前までやってきました。

フロント/リヤ共にアブソーバが伸びきる直前のヤシマ号。
ライトが照らす先が伐採によって裸となった山と同化した道路です。


アルトが作った轍とは思えないほどの深さです。
ダートラ用に作ってもらったエナペタルでしたが、この秋に改良してもらったフロントの更なるストロークアップの効果が雪山で本領発揮しています(笑)

左にいくほど下がっているのは、そのあたりに道があるからです。
開拓中の轍の先、つまりタイヤ跡が若干左に傾いているのは、物理の法則によるものです。本当はもう少しまっすぐ登りたいのですが重力に負けて下がってしまうのです。

この角度では下がってしまうので、違う轍を作り直線的に登れる道を作らないと先へは進めません。

3月に入り暖かい日や雪では無く雨が降る様になったお陰で、吹きさらし第一弾目までの道の圧雪化が進み、一気にここまで到達しましたが吹きさらしという事と、この辺りの外気温がまだまだ低い事もあり、予想よりも雪がサラサラしていてタイヤが雪の上に乗りづらい状態です。

雪の上に乗ると言うのは、タイヤで踏んで圧雪路を作り出す事です。
これが出来ないと進む「登る」事が出来ない重要な作業なのですが、
寒すぎて水分が飛んでいた1~2月頃のパウダースノーと呼ばれる雪を圧雪させるのは至難の業。
そんな事もあり、ここ数ヶ月登る事が出来なかった訳ですが、
この日の夕方、車検上がりで引き取りに来た友人のワークスRとプチ開拓した時に、当然と言えば当然ですが、ここまで違うのかと感じた出来事があったので、メカ的な要素も取り入れながらお話したいと思います。



F5Bまで含めた旧規格「F5Aは別物なので省きます」には、ファイナルギヤが3種類存在しています。
ママチャリに採用されている3段切り替えをイメージしてもらえれば分かり易いと思いますが、王道であるRS/RやRS/Zそしてieとie-Sには高速ギヤが。
非力なNA「ノンターボ」やトルクの細いF6Bそして低ミュー路を激走するために生まれたワークスRは低速ギヤを。
そして排気量の少ないF5Bには中速ギヤと各々のエンジン特性に見合うファイナルギヤが選択されています。

友人の乗るワークスRは高速ギヤ型ファイナルギヤが装着されたRS/Z用ミッション仕様。

ペダル1回転で進む距離が多い分、大きな力が必要な高速ギヤ。
ペダル1回転で進む距離が少ない分、小さな力で済む低速ギヤ。
雪上でペダルを漕ぐと安易に空転するリヤタイヤも、自転車を押して歩けば空転しません。当たり前ですが駆動力をタイヤに伝えない限り、低ミュー路特有の滑る現象は起きても空転する事は100%ありません。

それは車も同じです。
タイヤに駆動力を伝えずに前進出来ればキレイな轍が出来るというコト。
轍が作れない理由は上記とは真逆の状態、つまり駆動力が必要以上にタイヤへ伝わってしまっているのです。

同じアルトなのにファイナルギヤ一つで、こうも特性が変わってしまうのは面白い話です。そこに持って来て同じ1速ギヤでもRS/RやRS/Z用を基準の1速とするならば、トルクの細いF6B用は0.5速で、速く走るために作られたワークスRは1.5速。

本来であればクランクシャフト1回転「ペダル1回転」で前に進む距離が少ない低速型ファイナルギヤのワークスRですが、1速ギヤが1.5速の様なギヤ比のため多少半クラッチは使いますがゼロ発進で結構な距離を稼げます。

逆に同じ低速型ファイナルのF6Bエンジン搭載のセルボくんは、1速ギヤが0.5速の様なギヤ比のためゼロ発進で恐ろしいほどブン回りますが、全く前に進みません(笑)

同じ低速型ファイナルでもヤシマの1速はNA用なので、F6Bほどではありませんが前に進みづらい(笑)

ダートラと圧雪路だけならワークスRミッションが最適ですが、あらゆる雪路面と開拓まで含めると、今シーズン苦労したヤシマミッションよりも、F6B用の方が優れている可能性が高い!
元々、F6Bセルボでダートラ参戦するために作ったミッションをヤシマ号に載せた事で、速く走る事とゆっくり轍を作る事が両立出来たのはF6Aの特性によるモノが大きいはず。
そんなF6AにF6B用を組み合わせたら、どんな開拓をしてくれるのか楽しみではあります。

それとF5Bの中速ギヤ型です。
F6AにF6Bと一度試して見たいと思っていますが、それよりもF5BにF6B用のミッションの組み合わせがヤバそうです。

高速ギヤほど加速力がマイルドになるので、低速型ファイナルと回転馬力のF5Bエンジンとの組み合わせはF6B以上にエキサイティングな吹け上りを味わえる可能性がありそうです。


3/10
なかなか吹きさらしのスタートラインを作れないヤシマ号。











3/11
ようやくスタートラインを超え吹きさらし路に突入。





吹きさらしを天空ルートと名付けた理由。
道と山肌の境界線が無くなった事によって、山の上まで登れてしまいそうな景色となってしまったから。


この日、順調に進み道では無いところに轍を制作。


3/12
道じゃないと気付いたのは、この日の陽気の緩さ。
右タイヤの沈み込みが半端なかったため全く前進できず。
もう少し左側へ道を作り直す事に。


3/13
雪が降ったので右側に作ってあった轍が消えています。
かなり深かった、昨日作った轍も浅く見えます。

片側タイヤ4.5本分の轍を作ってあるのは、本当にココがドハマりポイントだからです。道が広いほど深雪に当たった瞬間に起こるリヤタイヤの空転によって簡単に緩く下がっている左側へ移動した際のリカバリーがしやすいからです。

このリヤタイヤが空転し踏んでいない緩い方へ滑ってしまうのは開拓時におけるLSDのデメリットかも知れません。

直進し轍を作り下がる。再び助走を付け直進し・・・
自分では真っ直ぐな気分でいるのですが、下がると何故か踏んだ道からズレている。これに気付かずに下がり過ぎると作っていないふかふかの深雪へまっしぐら(笑)

何度ハマったか数えきれません。
これを解決するには僅かしか下がらない「バックしない」事。
もしくは広く轍を作り下がっても踏んだ路面を走行出来る事です。
どこかでも書いた様に、駆動力を僅かに進むだけの助走のみに使えるようになると、轍を作る時に駆動力はタイヤに伝わっていないので、車重のみで轍が作れるようになるので、力で深堀りしなくなります。

この車重も旧規格アルトのメリットです。
軽いは速いだけでなく沈まないでもあります。






PDFはこちら